01「みんなの家」とは

 

「みんなの家」って どんな家?

 

「みんなの家」は、住宅設計の専門家 プリズム建築設計室が考える理想の家

耐震性能と断熱性能で家族をまもり

地域の職人の伝統的な仕事を応援し

家づくりを通じ脱炭素化に貢献する

家を建てることが  地域と世界の持続的な発展につながる「みんなの家」

そのためには  施主さん自身に建築を深く学んでいただく必要があります

プリズムでは 新築も リフォームも 10の能力を身につけて頂くため、

「博士の家づくり講座」を受講していただいています

 

 

  1. 施主さん自身の力で、構造のことも考えた間取りを描けられるようになってもらう

  2. ご自身の家の耐震等級(等級3)・耐風等級(等級2)の計算ができるようになってもらう

  3. 冬の朝、暖房をしていない部屋(廊下やトイレ)の室温を何度にするか目標を立ててもらう

  4. 断熱性能・蓄熱性能・防湿性能・気密性能・省エネ性能を予算に合わせて、自分でデザインをしてもらう

  5. ホルムアルデヒドやPM2.5を換気設備でどこまで除去するか考えてもらう

  6. 子どもへの教育観・夫婦愛・老後の生き方等の思想を、建築空間として表現してもらう

  7. 地域の街並みと一体になった外観デザインを考えてもらう

  8. 住宅はみんなでつくるものだと感じてもらう

  9. 施工者の選定方法はさまざまにあることを知ってもらう

  10. 建てた家を一年に一回、住宅医と一緒に定期検査+環境家計簿もつけてもらいます

 

1.施主さん自身の力で、構造のことも考えた間取りを描けるようになる

プリズム建築設計室では、新築でも、リフォームでも、基本的な姿勢として、施主さん自身に間取りを描いてもらいます。
はじめは、横で間取りのつくり方をみてもらい、何度か一緒に間取りを描いていくと、自然にプランをつくれるようになってきます。
一緒に模型をつくったり、パースをみてもらいながら、自分の描いた間取りを立体的にイメージできるようになっていただきます。


(施主さんが即席で作成をした模型)


(施主さんと一緒に作成をした外観パース)


(施主さんと一緒に作成をした内観パース)

日本では、古来より施主が間取りを描くという文化がありました。
そういう文化が育ったのは、畳という人間工学的な寸法に基づくモノサシがあったためと思われます。
今は畳のある住宅は少なくなっていますが、昔から「座って半畳、寝て一畳」と言われるように、シングルベットを畳一枚ととらえてもよいと思います。

さて、畳やシングルベットは長方形ですが、長手の長さを一間(いっけん)、短手の長さを半間(はんけん)と呼びます。
畳が2枚だと、一間×一間で、一坪(ひとつぼ)になります。
8畳は、二間×二間で、四坪になります。
30坪の住宅とは、畳でいうと60畳ということになります。
畳の大きさが分かると、間(長さ)が分かり、間が分かると坪(面積)をすぐに計算することができます。
とても便利ですね。

次に、リビングなど広さが必要な部屋では、一般に室内に柱を建てずに、梁を飛ばす必要があります。
梁を二間飛ばす場合には、梁の背(高さ)は24センチ(8寸)、二間半飛ばす場合には30センチ(1尺=10寸)必要になります。
24センチの杉材であればm3辺り12万円、30センチであればm3辺り15万円と、コストもすぐに計算をすることができます。

間取り = 構 造 = コスト

という関係式が、木造の場合は特に明確に現れます。
構造を理解した間取りが描けるということは、安全性を確認しながらコストを下げることができる力を得ることを意味します。

 

2.ご自身の家の耐震等級(等級3)・耐風等級(等級2)の計算ができるようになってもらう

テレビCM等では耐震等級3であることが強くうたわれていますが、徳島で住宅を建てる場合には、ほとんどの場合、
地震力よりも風圧力の方が大きな力がかかります。
そのため、プリズム建築設計室では、耐震等級3だけでなく、耐風等級2を確保した住宅とすることを推奨をしています。
住宅が受ける風圧力は、簡単に書くと次のような式になります。

F(住宅が受ける風圧力)= A(風を受ける面積)× q(風の強さ)

小さな家より大きな家の方が、また平屋よりも2階建ての方が、風を受ける面積Aが大きくなるので、風圧力Fが大きくなります。
風の強さqも、平屋よりも2階建ての方が強くなり、周りに建物がない場所ほど風を直接受けるため、風圧力Fが大きくなります。
建築基準法では、徳島県の大部分で、風速36m/s(地上10mの位置)で倒壊をしないことが求められています。
これは、1959年の伊勢湾台風の観測データを参照に、決定をされています。
耐風等級2では、その1.2倍の風圧力に耐えることができる住宅であることが求められています。

 

次に、耐震等級について説明をします。
住宅が受ける地震力を、簡単に書くと次のような式になります。

F(住宅が受ける地震力)= m(建物の重さ)×  Ci(揺れの強さ)

住宅が受ける水平力Fは、建物の重さmに、揺れの強さCiを掛けたものになります。
木造よりも鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)の方がはるかに重いため、受ける地震力Fは大きくなります。
同じ木造であっても、 平屋の建物よりも2階建ての建物の方が重いため、地震力Fは大きくなります。
揺れの強さCiは、建物の高さや建物の堅さ、地盤の揺れやすさ等の様々な要因で決まります。
その中の一つである地盤の揺れやすさについて、J-SHIS 地震ハザードステーションの表層地盤増幅率を参照にみてみましょう。


(J-SHISホームページ)

上の図は、徳島県の表層地盤増幅率を表しています。
赤色ほど表層地盤増幅率が大きく、青色ほど小さいことを表しています。
表層地盤増幅率が大きいほど建物が揺れやすく、大きな被害を受ける恐れがあります。
讃岐山脈と四国山地は青く、山脈の岩でできているため、表層地盤増幅率が小さいことが分かります。
吉野川沿いをみると、池田の方は比較的増幅率が小さいですが、徳島市内に向かって増幅率が大きくなっていることが分かります。

一昔前までは技術力が十分ではなかったため、増幅率が高い土地に高い建物を建てることはできませんでした。
社会的・経済的にもその必要性は低かったこともあります。
かって、徳島の中心は徳島駅周辺ではなく、国府や勝瑞であり、徳島駅周辺と比較して増幅率の低い土地でした。
しかしながら、現在では、徳島駅周辺のように増幅率が高い土地に、人口が集中をしています。
そのために、土地代が高くなり、細切れの小さな土地しか購入をすることができなくなっています。
土地が小さいために、不動産を有効に活用するために、高さの高い建物を建てる必要が出てきました。
でも、増幅率が高いため、住宅が受ける地震力はどうしても大きくなってきます。
こうした土地では、耐震等級3や耐風等級2のように、固い建物を建てる必要があります。

 

次に、震度階と耐震等級との関係をみてみましょう。
建築基準法は新築の場合に、震度6弱で倒壊をしないことが求められています。
これは加速度という数値で表すと、基準法は400ガルで倒壊をしないということになります。
耐震等級2とはそれより25%余力があること、つまり500ガルで倒壊をしないことになります。
等級3とは50%余力があり、600ガルで倒壊をしないということになります。
また、耐震改修の場合の上部構造評点1.0とは400ガルで倒壊をしないということ、
1.5まで高めると概ね600ガルまで倒壊をしないということを意味します。


(単位はgal)

CM等で震度7で倒壊をしないとうたうメーカーもありますが、震度7は800ガル以上で無限大までが震度7となるため、
震度7に耐えられる家というのは存在しないと答えるのが、誠実に科学に従事する者の回答だと私は考えます。
プリズムでは、最低限を耐震等級3とし、耐震等級3よりもどこまで余力を持たせるかを施主さん自身に決めてもらいます。

耐震等級3や耐風等級2とは、耐力壁を600ガルに耐えられるように配置するだけでなく、水平構面、接合部の強度、基礎、梁など
総合的な安全性を検討する必要があります。

(「構造用合板の手引き」より引用 一部改変)

耐力壁が強くなれば、柱と梁との接合部に大きな力が働きますので、それらが抜けないように接合部の強度を強くする必要があります。
また、建物を六面体(箱)と考えれば、耐力壁は箱の側面4面であり、屋根が箱の上面、床や基礎が箱の下面になります。
六面体のいずれの面も同じように強度のある箱の方が安全性が高いため、水平構面(屋根や床)も固くする必要がでてきます。
もちろん、基礎についても地盤に対して、安全性のある形状、強度としていく必要があります。

こうした総合的な安全性を確認するため、そのエッセンスの部分をご自身で計算をしていただくようにしています。
また、計算の補助教材として、構造設計者・山辺豊彦著『ヤマベの木構造』をプレゼントしています。
この本は建築設計のプロ向けの本ですが、絵が多いため、一般の方でも読みこめば読むことができます。


(エクスナレッジ社ホームページより引用)

 

3.冬の朝、暖房をしていない部屋(廊下やトイレ)の室温を何度にするか目標を立ててもらう

冬の朝、寝室から廊下に出て、寒い廊下を通り、リビングの暖房をつけて朝食の準備をする。
夜はお風呂に入る前に、寒い脱衣室を暖房器具等で温めてヒートショックを防止する。
残念ながら、これが日本の標準的なライフスタイルなのではないでしょうか。

実は建築基準法レベルの耐震性能を満たしている住宅は、日本の全住宅のうち80%を超えているのに対して、
H25年基準(※)の断熱性能のレベル(断熱等性能等級4)を満たしている住宅は10%に過ぎません。
なお、この基準は、2020年に義務化される予定です。
(※エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準(平成25年経済産業省・国土交通省告示第1号))

では、断熱等性能等級4とはどの程度の性能なのでしょうか。
プリズム建築設計室では、20年間の間に同一地域に住宅を建てる機会があり、2017年1月22日から2月5日までの約2週間にわたり、
非暖房室(1階廊下)の温度測定(30分間隔)を行い、日本建築学会にて報告をしました。
(多田豊「隣接した異断熱性能木造住宅4棟における非暖房室の温湿度実測評価」、日本建築学会四国支部研究報告集第17号P.47-48、2017年5月)


(測定建物の位置関係)

建物の性能は次の通りです。
A:無断熱
B:断熱等性能等級3 UA値=1.00
C:断熱等性能等級4 UA値=0.84
D:断熱等性能等級4 UA値=0.36

その実測データを下図に示します。

一番下の青い線が外気温で、夜に温度が下がり、昼に温度が上がる波状の繰り返しになっています。

その次がA(断熱等性能等級1 無断熱)の建物のデータです。
外気温を下回ることはありませんが、ほとんど外気温と同じ動きをしていることが分かります。

BとCとは、断熱等性能等級は等級3と等級4ですが、ほとんど同じ動きをしています。
概ねですが、外気温よりも11度ほど高い温度を維持していることが分かります。

一番、暖かな家は、Dの住宅です。
こちらは外気温と比べて約15度常に高い温度を維持していることが分かります。

CとDとは同じ断熱等性能等級4ですが、断熱性能が大きく異なることが分かります。
住宅の断熱性能をみるには、等級ではなく、UA値という数値で判断をする必要があります。

UA値を説明する前に、熱は高いところから低いところへと流れるという基本を説明したいと思います。
コップに80度のお茶を入れると、20度の室温の方に熱が奪われ、数時間立てばお茶の温度は20度にまで下がります。
薪ストーブは250度近くになり、人間の表面体温が約30度程度のため、220度も温度差があるので、とても暖かく感じます。
夏場、芝生よりもアスファルトの方が熱く感じるとは、芝生が30度にしかならないのに、アスファルトは80度にもなり、体温と差があるためです。

住宅も同じで室温が20度で、外気温が0度であれば、どのような住宅でも室内から屋外に熱が逃げます。
その熱の逃げやすさの差をUA値という数値で表し、その数値が低いほど性能が高いことになります。
徳島の大部分は地域区分6という地域に分類され、この場合、UA値が0.87以下であれば等級4と評価されます。


(建物を単純な六面体としたとき、六方からの熱の逃げやすさがUA値)

UA値とは、外皮平均熱還流率といい、単位は、W/㎡・Kです。
つまり、1度(K)の温度差があった場合に、建物の表面積1㎡当たり、何Wの熱が家全体から出ていってしまうかを表します。
Cの住宅の0.84W/㎡・Kと、Dの住宅の0.34W/㎡・Kとを比べると、約2.5倍の性能差があることが分かります。
ちなみに、建物の表面積を概ね200㎡とすると、室内外に1度の温度差があると約70Wの熱が移動します。
室温が20度で外気温が0度の場合、1400W(ドライヤー程度の熱)が建物の中から外へ出ていっていることになります。
室温を20度に保つには、エアコン等で1400Wのエネルギーを発生させる必要があります。
これがCの住宅であれば、3500Wの熱が出ていっているため、20度を維持するのに、2.5倍のエネルギーが必要になります。

断熱性能が高い住宅は家中が暖かいため、ヒートショックの危険性が減少するだけでなく、呼吸器系疾患や心臓血管疾患等の
リスクを減少させるという研究結果も多く報告をされています。


YKKapホームページより引用

こうした勉強をしてもらい、暖房をしていない部屋で、冬の朝に何度の温度で暮らしたいかをご自身で決めていただきます。

 

4.断熱性能・蓄熱性能・防湿性能・気密性能・省エネ性能を予算に合わせて、自分でデザインをしてもらう

1)断熱性能のデザイン

UA値は、性能の高い断熱材を可能な限り厚く使えばいくらでも性能を上げることができます。
でも、住宅の壁や屋根のすべてを断熱材で覆うことと、窓や入口のない家になってしまいます。
住宅にはどうしても、断熱性能の低い、開口部を設ける必要があります。
窓は壁や屋根と比べて断熱性能が著しく低く、夏場の部屋の暑さの原因の約7割が窓、
冬の寒さの原因の約5割が窓であることが分かっています。


YKKapホームページより引用

現在、サッシ業界で著しい製品開発競争が行われており、
アルミサッシから樹脂サッシへ、
ガラスは普通ガラスからlow-Eガラスが標準へ、
ペアガラスのガラス間の厚みが15ミリへ、
ガラス間を空気ではなく、アルゴンガスを入れるなどなど、
どんどんと性能があがってきています。

こうした高性能サッシであっても、断熱性能を図る熱貫流率は0.90W/㎡・Kもあります。
一般的な断熱材である、高性能グラウウール16Kを100ミリ入れた壁の熱貫流率は0.36W/㎡・Kとその性能差は約3倍もあります。
これが、アルミ・樹脂複合サッシであれば、熱貫流率は2.33W/㎡・Kにもなり、高性能サッシの約2.5倍、壁とは7.5倍の性能差があることになります。
(※熱貫流率は、UA値と同じく数値が大きいほど、熱が逃げやすく性能が低いことになる)

こうした断熱性能の低いサッシをいかに効率的に配置するかが、断熱性能のデザインになります。
敷地条件にもよりますが、建物は出来る限り北側に寄せて、南側に太陽光が入るようにし、
南側に大きな窓を設けます。

例えば、太陽の輻射熱を約330W/㎡とすると、サッシの日射熱取得率を60%とすると、198W/㎡の熱が室内に入ってきます。
反対に、室温20度で外気温が0度とすると、サッシの熱貫流率を0.9とすると、18W/㎡の熱が失われていきます。
その差は190W/㎡で、1間の掃出し窓(3.3㎡ 畳2枚分)だと594Wの熱(コタツ1台分)を窓一枚から入れることができます。

南側に大きな窓を設けると、南側の壁が減り、耐力壁をとれる箇所が減る場合があります。
その場合に、耐震等級3に必要な壁量を確保すること、耐力壁線として十分な壁量を確保すること、北側との耐力壁の差をあまりに大きくしないこと等、
構造設計と一体になった総合的な設計能力が必要になってきます。

また、夏場は室内に太陽熱が入らないように、十分に日差しをカットできるように庇を伸ばす必要があります。
しかしながら、夏場の太陽の動きは、正午には上の図のように日射角度がきつく太陽光が室内に直接入りませんが、
日の出や日の入りの時期は、東側、西側にほぼ水平の角度から日射が差し込んでくるため、
外付けのシェードを窓に設けたり、植物で緑のカーテンをつくる等の措置をとる必要があります。


(外付けシェードの例 YKKapカタログより引用)


(デザイン上  左側の部屋の窓に庇を設けられなかったためシェードを取り付けた事例)

こうした太陽の動きを、敷地で確認するには、携帯アプリ「sun seeker」をダウンロードするのが一番です。
夏至、冬至の太陽光の動きを正確に把握できるので、隣地の建物の影響により影ができるかどうか等を検討することが可能です。

2)蓄熱性能のデザイン

冬場、太陽熱が当たる床や壁には、蓄熱性能の高い内装材を使用すると、夜までポカポカと熱を蓄えてくれます。
この住宅では、南側からの太陽熱に加えて、トップライトからも太陽熱が薪ストーブ周辺の壁・床のタイルに当たり
蓄熱されるように設計をしました。

蓄熱性能の高い材料は、日射が当たり、かつ物を置いたり、頻繁に通ったりしない位置に設置することが設計上のポイントです。

3)防露性能・気密性能のデザイン

断熱性能を高める場合に、断熱材に湿気が入らないように、室内側の防露性能を高める必要があります。
断熱材=小さな空気層の集まりです。
断熱材の中には、目に見えないレベルでたくさんの空気の膜ができており、その空気の膜を一つずつ伝わりながら、
熱が伝わっていきます。そのため、空気の膜が小さいほど、断熱性能が高い断熱材になります。


(硬質ウレタンフォームの顕微鏡写真 アキレスボードパンフレットより引用)

しかしながら、断熱性能が高いということは、同時に湿気に弱いということになります。
断熱材に湿気が入った場合に、空気の膜がたくさんあるため、なかなか湿気が抜けなくなります。
熱の伝わりやすさを表す熱伝導率(W/m・K)は、水は0.582に対して、乾燥空気は0.0241と、約25倍も差があります。
つまり、断熱材に湿気が入ると大幅に性能が落ちてしまうのです。

そのために、透湿抵抗(湿気を通さない性能)の高い材料を室内側に用いて断熱材に湿気が入らないようにします。
これを防湿層と呼びます。防湿層は連続させることが重要です。

下の写真は0.1mmの防湿フィルムを連続させていますが、コンセント等でフィルムを切ることがないように、
コンセントの厚さ分(50ミリ)の胴縁を室内側に設けています。

特にサッシ廻りは防湿層が連続しにくく、みえない隙間が生じる場合が多いため、
サッシの取り付けに先行をして防湿フィルムを張っておき、防湿層を確実に連続させるようにします。

このように防湿性能を高めることは、同時に気密性能を高めることにもつながります。
気密性能は、協力会社の機密測定技能者が測定を行います。
一部のハウスメーカー等では内装工事完成後のビニルクロスが貼れた状態で測定をして数字をよく見せかけていますが、
プリズムでは、断熱材の施工時に測定を行い、不利側の数字を測定するとともに、
この状態であれば、機密測定をしながら、防湿層が連続をしていない箇所を特定することができるため、
その場で防湿層を連続させて、確実な施工を行うように指導をしています。


(機密測定の様子 専用の機器を用いて気密性能を図る)

なお、機密性能はC値という値を用います。単位は、c㎡/㎡という不思議な単位です。
これは、外皮(屋根や外壁)1㎡当たり、何c㎡の防湿層が連続していない箇所があるかを測るものです。
もちろん、数字が小さいほど、防湿層の連続している箇所が少ないため、性能が高いことになります。

昭和50年頃の住宅で 8.0程度
最近の住宅で 2.0程度が平均です。
プリズムでは 0.5 を合格値としています。

0.5c㎡/㎡とは、外皮(屋根や外壁)の面積が200㎡とすると、たったの100c㎡しか防湿層が連続していない箇所がないことになります。
つまり、あれだけ大きな家全体で、10cm × 10cm の穴が開いているだけということになります。

4)省エネ性能のデザイン

断熱性能を高めるとどの程度、省エネルギーにつながるのでしょうか。
少し専門的な数字ですが、UA値0.87の住宅と0.40の住宅とでは、およそ一年間に10GJ(ギガ・ジュール)、約2670kwhを削減できます。
1kwh当たり20円で契約をしている場合には、約5万円を年間節約をできます。
少し驚かれたかもしれませんが、高いコストを出して断熱性能を高めても、年間に削減できる暖冷房費はそれほど多くはありません。
断熱性能を高めるのは、結露の防止や、ヒートショック対策等の健康面のためと考えた方がよいことが分かります。

下図の上グラフは、2010年頃の標準的な住宅において、一年間に使用する一次エネルギーが89.6GJ、約24000kwh、約48万円(月平均4万円)を使用しており、
そのうち、暖房がその3割を、給湯も同様に3割を占めていることを示しています。冷房は約5%程度です。
暖房は5度の空気を28度まで上げるため23度の温度差がありますが、冷房は36度の空気を28度まで下げるため8度の温度差しかありません。
また、冷房を掛ける期間は夏場の一時期であり、冷房費というのは、住宅全体の一次エネルギーをみればそれほど気にしなくてもよいことが分かります。


自立循環型住宅への設計ガイドラインより引用 一部変更)

上図の下グラフは、断熱性能や省エネ設備を導入し、一年間に使用する一次エネルギーを約半分の44.8GJ、約12000kwh、約24万円(月平均2万円)となった場合を示しています。
暖房費は約25%にまで減少をしていますが、給湯費は約40%にしか減少をできていません。
どうしても給湯は、空気よりも比熱が高い水を、平均15度位から50度まで上げる必要があるため、一次エネルギーが多くかかります。
今後より性能のよい給湯器が開発をされれば、もっと一次エネルギー使用量は大幅に削減をされる可能性があります。
これは、家電についても同じで、約40%程度しか削減をできていません。家電も今後ますます性能がよくなるので、今よりも一次エネルギーを使わない住宅になっていくと思われます。

一番下のグラフは、認定低炭素住宅の基準を示しています。認定低炭素住宅は、標準的な住宅から1割ほど一次エネルギーを削減すればよいので、
上図の場合では、たったの9GJを削減するだけで、認定低炭素住宅の一次エネルギーの基準に到達をします。
また、この1割削減というのは、省エネルギー性能等級5と同等ですから、等級5といってもそれほど意味はなく、一次エネルギーが何GJかを重視することが大切です。

一次エネルギーをいかに削減するかについては、ガイドラインに15の手法が掲載されており、プリズムではそのうち特に重要な13項目について説明を行っています。

自然エネルギー活用技術

建物外皮の熱遮断技術

省エネルギー設備技術

 

5.ホルムアルデヒドやPM2.5を換気設備でどこまで除去するか考えてもらう

天井、壁、床、窓枠などの内装材や、室内に持ちこむ家具は出来る限り自然素材としています。
しかしながら、現実には住宅をつくる上で、コスト面からビニルクロス等の科学素材を用いる場合が一般であり、
この場合には.、多くの材料においてホルムアルデヒド等のVOC(揮発性有機化合物)が発生をします。

建築の世界で使われる内装材の大部分はF☆☆☆☆(エフ・フォースター)が主流になっています。
F☆☆☆☆とは、室温28度の時に、1時間に1㎡当たりの面積から発散されるホルムアルデヒドの量が5μg(0.005mg)のものを指します。
ホルムアルデヒドとは、シックハウス症候群の原因物質の一つで、厚生労働省の基準では室内濃度指針値が
100マイクログラム/立方メートル (0.08ppm)以下となるように定められています。

8畳の部屋で高さが2.4mとすると、天井、床、壁の面積は全く開口部がないとすると約50㎡のため、
すべてF☆☆☆☆の材料を用いた場合に、室温28度の時に1時間に250μgのホルムアルデヒドが発生することになります。
体積は約30㎥のため、250μg/30㎥となり、約0.08ppmの室内濃度になることが分かります。
現実にはすべて開口部ということはないため、0.08ppmより低い濃度になると考えられます。

ただし、28度よりも室温が上がる場合には、もっと多くのホルムアルデヒドを発生させる恐れがあります。
そのため、建築基準法では、24時間換気が義務付けられ、2時間ですべての空気が換気できるように定められています。
例えば、先ほどの8畳の部屋であれば、1時間に15㎥の空気が換気されなくてはなりません。
しかしながら、こうした24時間換気は、気密性能の高い住宅(C値1.0以下)でなければ正常に換気されず、
どこかに換気できない部屋ができてしまいます。
C値の性能が低い家はいたるところに穴の開いたホースと同じですから、思い通りに換気ができません。
C値の性能の高い家は、ホースに穴が開いていないため、計画的に換気をすることができます。

換気方式には、第1種、第2種、第3種の3種類があります。量産ハウスメーカーは、コストアップを狙って、
第1種を提案することが多いですが、プリズムでは主に第3種(ダクト方式)を採用しています。
詳しくは、打ち合わせの中で説明をしますが、気密性能が高い家であれば、第3種(ダクト方式)で換気性能は問題ありません。

ただし、24時間換気とは外気が室内空気よりも清浄であるという前提に立っています。
県道の近くでは排気ガスが発生し、西日本には中国大陸からPM2.5が飛んできて、春先は花粉がやってきます。
こうして考えると、外気が決して清浄であるとはとても言えません。
PM2.5とは、2.5μm(100万分の1)の大きさの物質のことを意味します。
人の毛が100μm程度であるのに対して、花粉はその半分の30~50μm、黄砂は0.1から10μmの大きさです。
タバコの煙がだいだい、0.5μmであると言われています。

(トルネックス社ホームページより引用)

PM2.5はとても小さな物質なので、風にのって、お隣の中国大陸から日本に流れてきます。
中国の方が、日常生活で石炭を用いていることが原因と言われていますが、今後、規制が厳しくなれば日本にやってくる量は減るかもしれません。


(トルネックス社ホームページより引用)

この対策として、屋外の空気を洗浄した上で、室内に入れるという方法があり、プリズムでは第2種換気にトルネックス社の電子集塵機をセットして設置しています。
電子集塵機がすぐれている点は、フィルター式と異なり目詰まりをしないという点です。
どうしても小さな物質をとれるフィルターは目が細かいため、早く目詰まりをしてしまいます。
第2種換気でフィルターを設けるというのは、病院の手術室等の清浄な空気が必要とされる空間に用いられますが、住宅では再々の交換が必要な商品はそのうちに
鋼管されなくなり、目詰まりをしたまま使い続けるという意味のないことになる場合が多いと考えられます。

(トルネックス社ホームページより引用)

 

6.子どもへの教育観・夫婦愛・老後の生き方等の思想を、建築空間として表現してもらう

家は子どものために建てるのではない、子どもが暮らすのはそこそこ20年間、その後の長い長い夫婦二人の時間を考えて家を建てるべきだ。

そういうお考えの方もこの頃は増えてきました。
でも、こういっては何ですが、何があるか分からないのが人生です。
子どもが同居するといって、増築をすることになるかもしれないし、結婚をせずにずっと家を出ないということもあります。
当初から耐力壁を整えて建築をしておけば、たいがいの間取りの変更、増築、減築等は簡単にできるというのが、木造の良い点です。
ですから、私は、これから10年間、20年間、お子さんを育てる巣を親としてどのようにつくるのかを真剣に考えてほしいと思っています。

案外、夫婦でも、子どもをどう育てるのかや老後の生き方について意見は分かれるはずです。
そこで、打ち合わせの一番初めに、家族全員に集まってもらって、ポストイットに色分けをして

  • 「今まで住んだ家や下宿の中でよかったこと(青)」
  • 「今まで住んだ家や下宿の中でわるかったこと(赤)」
  • 「これまで一度も住んだことはないけど、新しい家に絶対ほしいもの(黄)」

を書いていってもらいます。

最後は、ポストイットに書かれた言葉同士で、意味のよく似たものを集めながら、一つの言葉で「自分たち家族が建てたい家を表現」してもらいます。

プリズムでは、これを、「家づくりのテーマ」と呼んでいます。
これまでに、たくさんの素晴らしいテーマが生まれてきました。
例えば、

  • プチ田舎で豊かに暮らす
  • 田舎で足るを知る暮らしをする
  • ほっかほか〇〇邸
  • いきつけのカフェのような家
  • 大人にゆったり 子どもに楽しい家

などなど。それぞれの家族に相応しい「家づくりのテーマ」が生まれています。
このテーマは、予算が足りなくて変更せざるを得ない時や、何かを取捨選択しないといけない時に、必ず思い出してもらうことで、
家族にとって一番大切なものは何かを判断基準となります。

施主さんによっては、アパートの壁にポストイットを貼って(下写真)、事あるたびに家族でテーマを考えていたという強者もいらっしゃいます。

さて、こうしたテーマをいかに建築空間として実現するのかが、設計の醍醐味の一つです。
例えば、「思春期になっても子どもが何をしているのか知っておくことが親の務めだ」と考えられ場合に、

  • リビングを通らないと子ども部屋に行けない動線計画としておく
  • 両親の寝室の奥に子ども部屋を設ける動線計画としておく
  • トイレ・風呂等をリビング等の共用室から入るようにしておく
  • 週に一度は一緒に料理をつくる時間をもつ約束をする(キッチンを使いやすくする)
  • どんなに仕事や部活が忙しくても、毎朝必ず一緒に朝食をとる約束をする(素敵なダイニングテーブルを用意する)

といった、建築空間で家族と強制させる方法や、ソフト面を主とし補助的な設備や家具を設けておくという方法もあります。
それぞれの家族で何がよいかを考え、建築を建てた上で、効果が薄ければソフト面を強化したり、異なる方法を試してみるのがよいと私は考えています。

 

7.地域の街並みと一体になった外観デザインを考えてもらう

外観は家を建てる施主さんだけのものではありません。
毎日、あなたの家をみるお向かいさんのものでもあり、へんろ道沿いではお遍路さんが徳島の風情を味わう景色に馴染む必要が出てきますし、
伝統的な街並みの中にあってはその文化的、歴史的な意味をよい意味で引き継ぐ外観であるべきだと私は思います。
自分自身には何の変哲もない単なる田舎だと思っていても、他の人にとっては人生のとても大切な風景であったという場所もあります。
もちろん、そのすべてを把握することは不可能ですが、せめて隣三軒両隣の住宅の外観をみて、違和感のない街並みを連続させていくことは大事なことだと思います。

たった二戸の分譲地に住宅を建てるため、先に建っていた隣家と外壁の色や建物の高さを合わせ、街並みの統一感を出すよう工夫をした。
また、隣家と同じ位置にまで建物をさげて配置し、同程度の広さの前庭を設けて、庭の広がりがより広く感じられるようにした。

既存の母屋、納屋の外壁の色調と調和するように、新しい住宅の外装材を考えてもらった事例。
周辺に洋風と和風の住宅が立ち並んでいるため、どちらにもみえるデザインを心掛けた。

 

 

8.住宅はみんなでつくるものだと感じてもらう

住宅は建築家や工務店の監督だけの力では全くつくることができません。
何十もの職種の職人や建材店、メーカーの方が協力をして初めて完成をします。
工程も、土木にはじまり、基礎、大工、屋根、サッシ、外壁、内装、左官、電気、水道とバトンを受け継ぐように、
多くの職人が出入りして一つの作品をつくりあげます。
建築家の描く図面は、オーケストラの楽譜そのものであり、誤記一つで現場が止まり、何人にも迷惑をかけることもあるため、
何度もチェックをして最終の製本をします。

家づくりを通じて、職人の素晴らしい技を知ったり、素材をつくる人たちの情熱を感じてもらいたいと思います。
量産ハウスメーカーは、職人の技を信じず、工場で均質な製品をつくり、それを現場でマニュアル通りに組み建てさせようとします。
これをケーキに例えると、材料も捏ね具合も焼き加減も全て機械化された工場でつくられたケーキです。
ラベルにはメーカー名が記され、安全性をうたう文句がたくさん書かれています。
家族の記念日や大切な日に、そういうケーキがふさわしいでしょうか。
私は、街中にある小さなキーキ屋さんで、パティシエが心を込めてつくったケーキの方が、一生に一度の記念日には相応しいと思います。

私は施主さんの住まいの柱や梁になる木を育てている林業家の顔を知っています。
林業家の木材生産に掛ける思いも、徳島の自然環境を守ろうという思いも、子孫にいかに山林を受け継ごうとしているかという思いも知っています。

TSウッドハウス主催の伐採ツアーに家族みんなで参加)

木材一つにしても、今、徳島県内で量産ハウスメーカーが建てている住宅の柱や梁は、私なら使いたくないというシロモノばかりです。
例えば、木材はその乾燥方法によって、天然乾燥材と人工乾燥材に分けられます。
天然乾燥材と異なり、人工乾燥材は不適切な乾燥スケジュールによって、強度が低下してしまうため、
適切な箇所に使用しなくてはなりませんが、そうしたチェックは一切行われていません。
それ以前に、そうした配慮が必要なことを、量産ハウスメーカーだけでなく、残念ながら建築家の多くも知らないのが現状です。

参考:安全・安心な乾燥材の生産・利用マニュアル(石川県林業試験場)

こうした問題は、木材だけでなく、外装材や、内装材、断熱材、サッシなど、住宅の様々な建材に及びます。
だから私は、職人から建材メーカーまで、自分が設計をする出来る限り全てのものを、顔の見える関係にしていきたいと思っています。
ケーキでいうなら、自分が安心でおいしいと思う、小麦粉や卵、牛乳を使っているということです。

そして、そうしたケーキを買うことは、良いものをつくろうとする農家さんを応援することにつながります。
実は家を建てるということも全く同じです。
それぞれの職人が自分はこういう仕事がしたいという思いや、
徳島の自然環境を憂れえる林業家の思いまでも、
家づくりを通じて、仕事を通じて、応援をしていることになります。

施主さんもいい家に住めるだけでなく、いい家づくりにかかわる人みんなが幸せになる
それが、私たちが理想とする「みんなの家」です。

 

9.施工者の選定方法はさまざまにあることを知ってもらう

家を建てる会社には、色々ありますが、大きく分けると次の3つになります。

  • 設計事務所(建築家)
  • 工務店
  • ゼネコン(ハウスメーカー)

これらの違いについて、なかなか分かっている方は少ないと思います。
簡単にまとめると次の表のようになります。

弊社のような設計事務所(建築家)とは、建築士法に定められた施主さんの利益を全力で守るプロフェッショナルで、

  • 「設計」という図面を描く仕事
  • 「監理」という工事に不慣れな施主さんに代わり、工務店・ゼネコンの工事が図面通りに行われているか確認する仕事

の二つの仕事をします。
施主さんの側に100%立つというのが特徴です。
一般的に「一級建築士」という資格を持ち、工務店やハウスメーカーと比べてデザインが優れているだけでなく、
最新技術を取り入れた機能性が高い住宅を提供しています。
通常の住宅であれば図面の枚数は70枚以上になります。

反対に、工務店とは、「設計」、「監理」は行わず、設計に基づき「工事」を行う会社です。
設計通りに工事ができているかどうか、「監理」を受ける立場になります。
設計事務所と対になって、仕事をしている会社が多くあります。

ゼネコン(ハウスメーカー)とは、一つの会社の中で「設計・監理」と「工事」を行う会社です。
「設計・監理」を行うかどうかが工務店との違いです。
といっても県内のゼネコン(ハウスメーカー)では、「工事」が主体で、「設計」は営業程度、
施主さんの利益を守るために必要な「監理」は、残念ながら形式だけの会社がほとんどです。
また、「設計」といっても、県内のハウスメーカーで、本当に自社で設計をしているところはほんの数社で、
大部分は、あまり売れていない設計事務所に安く外注をしている形になります。
図面の枚数はキッチンの図面等も入れて20枚以下の会社が多いと思います。
(図面の枚数が多いと後で変更が出来にくいので、出来るだけ図面を少なくしています)

私自身が設計事務所ということもあるのですが、家を建てる時は、設計事務所にお願いするのが一番得だと思います。
一般的な住宅は、建築界全体(つまり空港や高層ビル、公共施設など)の中では、正直に言うと、施工に高いレベルが必要のない建物種別に分類されます。
(もちろん、伝統工法等匠の世界を除くことが全体で、あくまで一般的な住宅です)
施工に高いレベルの必要のない建物種別では、「工事」で差が付きにくく、
良い住宅の5割までは「設計」で決まり、「工事」は2割、残り3割は工事に対する「監理」で決まります。
良い住宅を建てたいなら、「設計」と「監理」に強い設計事務所に頼む方がよいと思います。

設計事務所にお願いする、もう一つのメリットは適正な価格を知ることができることです。それには、競争入札を行うという方法があります。
例えば、徳島県や市町村などの公共団体は、工事発注の前に、設計図面を何十枚と描き、その図面を、数社の施工会社に配布して、競争入札を行っています。

「同じ図面」というところがポイントで、例えば、家を建てようと思う人が、いろんなハウスメーカーをめぐっても、全く同じ図面で見積もりをすることはできません。
例え、間取りが同じであったとしても、300を超える仕様を全て統一することは不可能です。
例えば、仕様にペアガラスサッシとなっていても、
フレームがアルミなのか、半樹脂なのか、樹脂なのか、
ガラスの種類は普通ガラスかlow-Eガラスか、
ガラスとガラスの間の空気層は何ミリか、
また間には空気が入っているのか、クリプトンガスなのか、
といった点が違えば、一窓1万円以下のペアガラスサッシもあれば、10万円をこえるようなペアガラスサッシもあります。
同じ仕様の図面を、数社の工務店、ゼネコン(ハウスメーカー)に競争入札をかけることができるというのが、設計事務所のいちばんの強みです。

例えば、2500万程度を希望されている住宅であれば、
一位業者 2200万円
二位業者 2250万円
三位業者 2400万円
四位業者 2700万円
五位業者 3000万円
と、一位と五位との間で、800万円も差がつくことがあります。
ハススメーカー一社だけにお願いをしていたら、
2200万円で建てられた家を、3000万円で建てたといことになります。
設計監理料を支払っても、十分におつりがくる差になっています。

しかし、全く同じ住宅をつくるという前提で、これほどまで価格が変わるのは、なぜなのでしょうか。
それは、住宅は一品生産のため、基本的には定価という考え方がないためです。
一位の業者が、なぜ2200万円で見積もりをしたかというと、

  • 近くで現場があって監督を回せる
  • 同じ様な仕様を施工した経験があり工期短縮ができる
  • 施工を通じて会社の技術力を向上できる図面になっている
  • このエリアでの仕事を他の会社にとられたくない
  • いま仕事がないので、監督を休ますよりは仕事をしてほしい

などなど、色々な事情はあると思いますが、仕入れ値を抑え、職人の配置を効率的に整え、事務費を抑えるという企業努力を行い、
その努力を施主さんに還元をしてもらっているのだと思います。

ハウスメーカーからでてくる見積りは、一般的に出来る限り、項目が少なくなっています。
それは、出来るだけ施主さんに見積もりの内容をわかられたくないからです。
図面にも見積もりにも掲載がない工事については、ハウスメーカー側でコスト調整に使いたいからです。
弊社が競争入札をお願いする工務店さんやゼネコンさんの見積書は、2500万円程度の住宅であれば、通常30頁程度になります。
真面目に拾えば、そのくらいのページ数が必要になります。

競争入札によって提出された見積もりを、全社分きちんとチェックをし、まずは項目落ちがないかをチェックします。
どれだけ安くても、図面に描かれている項目が抜けていたら、一位と二位とが入れ替わる場合さえもあります。
ただ、一位業者ほど、真剣に拾って、ここまでは安くできると分かって見積もりをつくっていますので、落ちはありません。
下位業者ほど、十分に拾えていないので落ちがあり、怖いので、価格を高めにして見積もりを提出しているのです。

すなわち、適正価格を出してもらうためには、
工務店・ゼネコン(ハウスメーカー)に真剣に見積もりをつくってもらうことが一番大切で、
そのために、きちんとした図面をそろえ、競争入札をするという方法をとっています。

 

10.建てた家を一年に一回、住宅医と一緒に定期検査+環境家計簿もつけてもらいます

1)定期検査

プリズム建築設計室は、徳島で初めて「住宅医」の資格を取得した設計事務所です。
「住宅医」とは、かかりつけの医者のように、患者(=既存住宅及びその施主)の状態をきちんと把握して対処できる専門家として、
一般社団法人住宅医協会の指定講習24単位を全受講し、作品試験に合格した者のみに与えられる資格です。


(国土交通省ホームページ「既存住宅インスペクション・ガイドラインについて」)

既存住宅の調査を行う資格は、次の3段階に分けられます。

  • 1次インスペクション   ・・・ 既存住宅状況調査技術者
  • 2次インスペクション   ・・・ 国土交通大臣登録耐震診断資格者
  • 性能向上インスペクション ・・・ 住宅医

1次インスペクションは劣化を、2次は劣化+耐震を、性能向上はその上に断熱、省エネ、バリアフリー、
防火性能といったすべての性能を向上させるために必要な調査を意味します。
プリズム建築設計室は徳島県内で唯一、全資格を取得しており、竣工後の建物の状況を総合的に診断をすることができます。
こうした資格をもった技術者が、一年に一度、住宅をお訪ねし、お施主さんと一緒に、外壁や室内、基礎の劣化状況等を確認をしています。
既存住宅調査のプロとご自宅をみることで、劣化の進行に早期に気づき、予防的な処置をとることができるようになります。


(壁の傾斜を定期的に同じ場所で測定をし、建物に傾きが生じているかを確認する)


(基礎はパールハンマーを用い、クラック等が入っていないかを確認する)

2)環境家計簿

こうした定期検査に加えて、環境家計簿をつけていただきます。環境家計簿とは、岐阜県立森林アカデミーの辻充孝准教授が開発した環境影響評価ソフトで 、
『4.断熱性能・蓄熱性能・防湿性能・気密性能・省エネ性能を予算に合わせて、自分でデザインをしてもらう』4)省エネ性能で設定をした数値よりも、
光熱費やCO2排出量を削減できているかどうかを毎月の電気料金等よりチェックできます。
数値が大きく外れていれば生活上のエネルギーの使い方を一緒に見直し、省エネと光熱費の削減を実現していきます。


(毎月の電気、灯油、水道、ガソリンの使用量と料金をまとめます)


(標準的な数値との比較が月ごとに可能です)

 

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