住宅の燃費について

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最近、YKK主催の環境勉強会が多く開催されており、非常に力を入れています。

 

7月8日には、愛媛にて日本エネルギーパス協会代表理事の早田宏徳氏の講演会

 

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7月17日には、徳島にて、 パッシブハウス・ジャパン理事の松尾和也氏の講演会があった。

 

 

 

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お二人から学んだことを自分なりに整理してみると。

 

1.断熱気密化が先で、設備による省エネ対策は最後

・屋根、壁、基礎の断熱及び窓の性能が低い住宅は、穴のあいたバケツのようなもの。

・いくら、水(冷暖房エネルギー)を投入しても、もれていってしまう。

・エアコンの性能が悪いのではなく、住宅の断熱性、気密性が悪い。エアコンは無実の罪を着せられている

・家電メーカーが強いから、住宅分野にもどんどん設備(太陽光発電等)による提案が入ってくる

穴の開いたバケツに、過剰な設備。どんどんバランスの悪い家になってくる。

・なお、日本とドイツの住宅の消費エネルギーを比較すると、ドイツは全室暖房(家中が冬場20度)で22GJしか使っていないのに対して、日本では間欠暖房(リビングや寝室等一部の部屋が20度)で80GJも使っている。4倍の差は、断熱材や気密性の差。

・22GJとは、燃費13km/Lの車が一年間に10,000km走った場合のエネルギー量と同等と理解しておいてください。日本の住宅は燃費でいうと、3km/Lです。かってのクラウン以下です。

 

2.四国の家は冬を旨とすべし

・四国は熱帯ではない。冬を中心に住宅を建てる方が良い。

・夏場は、外気32度を室内28度に落すため、4度の差

・冬場は、外気8度を室内18度にするため、10度の差

・単純に比較はできないが、冬場の方が2.5倍エネルギー(電気代、灯油代)を使う

・経済的な話だけでなく、昔から冷えは万病の元。ナイチンゲールの時代でさえ、介護の基本は部屋があたたかいこと

・ドイツでは、冬に18度を下回る住宅を新築した場合には、人権侵害にまでなる!

・14度を下回ると、肺疾患が増えるという医学系の論文がある。温度が下がると相対湿度も上がるため、湿気が多く、ウイルス等が繁殖する湿度の高さにもなる。

・四国では省エネ等級4(Q値2.7)で、冬場の非暖房室が12度

Q値1.9まで性能を上げると、冬場の非暖房室が15度

Q値1.0というドイツクラスの性能だと、冬場の非暖房室が20度

・Q値1.9あれば、太陽光を取り入れれば、20度まで上がるようになる。

 

3.エネルギーコストはどんどん上がる

・四国では、省エネ等級3(Q値4.2)以下の住宅もたくさんある。

・エネルギーコストは、平均的な使い方をして、省エネ等級3(Q値4.2)と省エネ等級4(Q値2.7)で、年間5万円、エネルギー代が変わってくる。

・ここでは、省エネ等級3で年間45万円(月3.75万)、省エネ等級4で年間40万円(月3.3万)、エネルギーコストを支払っていると仮定する。

・30年で省エネ等級3は1350万円、省エネ等級4で1200万、その差は150万円とはいかない。

・エネルギーコストは上昇している。

・省エネ等級3の場合、年間3%ずつ上昇したとすると、今年の45万円分のエネルギーを買うために、10年後には約58万、20年後には78万、30年後には100万(月8.3万)が必要になる。そこまでエネルギー代にお金を払うことができる家庭は少ないだろうから、冬場に暖房をつけることができないという時代がくるかもしれない。。。(もちろん、もっともっと家電の消費電力は下がるだろうから、一概には言えないけども)

・省エネ等級4の場合には、今年の40万円分のエネルギーを買うために、10年後には約52万、20年後には70万、30年後には94万となる。これでも結構高い。

・30年間の総合計は、省エネ等級3で2140万、省エネ等級4で1900万となり、その差は240万となる。しかし、住宅を建てるのと同じだけ、エネルギー代を払うことになる訳だ。

・Q値1.0までもっていくと、年間12万円程度のエネルギー代になる。

・そうすると、30年目に約28万にまでしか上がらない。30年間の合計も約570万です。

・省エネ等級4と比べても、その差は1330万。Q値を2.7から1.0まで向上させるのに、40坪の住宅で400万位(坪10万)はかかるだろう。でも、長い目でみると、明らかに得をすることになる。

・また、リフォームで同様の工事をする場合には、廃棄代等も増えるので、600万(坪15万)位になるのではないだろうか。設備(太陽光発電)の値段は後の時代になるほどどんどん下がるが、建築は後から工事するほどどんどん値段が上がる。設備は10年したら取り替えないといけない。一生使う住宅の性能を上げておく方が絶対にお得。

・また、室内温度が快適という意味で、健康という面からも良いと思う。

 

4.燃費の見える化が必要

・日本人は賢い買い物が出来る人たち。

・スマート住宅は、穴の開いたバケツに過剰に設備を載せていくため、決してスマート(賢い)ではない。

・エコカーが普及したのは、燃費を前面に打ち出したから。

・住宅も、燃費を全面に打ち出していってはどうだろうか。

・長期優良住宅等の申請用の国(建築研究所)のプログラムは無料公開されている。

http://house.app.lowenergy.jp/

・民間だと、建もの燃費ナビがある。

http://www.cpu-net.co.jp/product/tatemononenpinavi.html

・ヨーロッパ基準のものだと、エネルギーパスがある。

http://www.energy-pass.jp/cn02/energypass.html

・他にも、CASBEEもある

http://www.ibec.or.jp/CASBEE/

以上です。

 

追記。

 

建もの省エネ×健康マップ

http-tatemono-nenpi-com

大手ハウスメーカーの建ものの燃費を勝手に計算して、公開をしています。
さすがにこれには、勝っていた。よかった。
でも、もっと上を目指す提案をしたいなぁ。

ABOUTこの記事をかいた人

徳島県上板町にて、コミュニティ建築家としてがんばっています。 会社:プリズム建築設計室 資格:一級建築士、博士(工学)、土地区画整理士