昨晩は、建築士会阿波のまちなみ研究会の勉強会に出席していました。
テーマは、タバコ乾燥小屋について。
講師は、香川大学工学部の釡床助教です。
今、リフォームを計画している古民家の横に、タバコ小屋があって、これがどういう位置づけになるのか知りたくて参加をしていました。
まず、タバコには、在来種と黄色種(米葉)があるそうです。
在来種は大正5年の時点の調査で47種類あり、有名なものに阿波葉があります。
阿波葉は燃えやすく、寒い地方で大変に重宝されたそうです。
在来種は現在のようなタバコではなく、刻みタバコとして呑みます。
日陰や室内に干し、1か月間、天然乾燥をします。
そのため、普通に住宅や蔵の中で乾燥をされてきたため、大規模農家でなければ特別に乾燥室をつくらなかったとのことです。
乾燥室がある場合には、地と上部に連子窓がついているような蔵だったとのことでした。
黄色種は、明治35年に国策として輸入され、技師アダムスによる乾燥室設計が知られています。
この時は、2間×3間の寄棟でした。
対象7年に、2間×2間に一方下屋、そこにカマドがあるという専売公社の標準設計ができたそうです。
2間というのは、タバコの葉をつるして作業をしやすい寸法であったと思われます。
しっくいが厚く塗り廻され、断熱性、気密性にすぐれます。
足元には、カマドから鉄管が通され、熱を伝えます。
黄色種は、4日程度で、急激な乾燥を行い、乾燥をさせることができる、生産性の高い作物とのことです。
屋根は、瓦の他に、亜鉛板や茅葺もあったそうですが、湿度が上がりにくい瓦が推奨されてとのことです。
ここで、黄色種用の乾燥室には、3種類あり、大阪式、広島式、折衷式があったそうです。
大阪式は、上部に窓がありその開閉で温度調整をする。
広島式は、屋根の下に土の天井があり、そこの部分に天蓋があり、その蓋を開け閉めして温度調整をする。
折衷式は、両方がついています。
また、独立型と、二室並び型、納屋と一体型とがあったそうです。
立地については、昔は地域で共有地に何棟もまとめて建てたそうですが、戦後補助金がでるようになり、
各家の敷地内に乾燥室を建てることになったそうです。
以上より、上の写真は、黄色種の乾燥室で、独立型の大阪式です。
かつ、各家の敷地内に建てることができようになった時代に建てられたものと思われます。
しかし、これだけの土壁、しっくいをつけ、瓦を葺くのですから、タバコって大事な作物だったのだと思います。