本日は、木造公共施設として建築中の松島学童保育施設に、多数の行政の方々が見学に来てくれました。
川上・川下連携といって、県が進めている、林業家と建築業者、行政とをネットワークする取組の一環として、
木造の公共施設の建築中の現場を視察頂きました。
主にお話をさせて頂いたのは、次の3つのことです。
1.度重なる余震に備えた伝統的構法の採用した
・南海地震と中央構造線地震のおそれがある
・広域避難場所である小学校に隣接。長期避難時の家族利用等を想定している
・耐震等級2に加えて、1/120ラジアン以上転んだ場合に耐力壁の耐震能力低下を踏まえ 「貫」による転びドメを計画した
・長ほぞコミセン差しや、大入れ寸法24ミリ等、せん断抵抗による耐震性能の発揮を期待している。
2.伝統的構法に適した天然乾燥材の採用する必要があった。
・杉は、不適切な人工乾燥を行うと、せん断抵抗が低下。(石川県林業試験場の報告)
・伝統的構法を採用するため、天然乾燥材を使用した
・人工乾燥であれば内部割れが大きく小口を出せないが、天然乾燥のため小口をみせることができた
・香りや殺菌性能等も高く保持できるため、子どもの施設としてふさわしいと考えた
・8m長材等は設計段階から材木店に相談をし、町の協力を得て使用できた。
・人工乾燥と異なり、天然乾燥の場合、2か年事業でかつ分離発注でなければ、林業側にリスク高いことが分かった。
3.利用者と一体となった計画
・県のユニバーサルデザイン条例に準拠し、利用者とワークショップ、ヒアリングを実施した。
・木造で計画をするときは、使い勝手に直結をするため木造特有のスパンの限界や、天然乾燥材の手入れ方法等を理解してもらうことが重要。
・天然乾燥材の施設見学、乾燥風景の見学、木材の番付け等に行政が参加してもらった。